議会活動

平成28年 質問・答弁

質問内容(1)
新政会の波多正文でございます。  第18回尼崎市市議会9月定例会に当たりまして、一般質問の機会を与えていただき、お礼を申し上げます。  それでは、早速質問を行います。先輩並びに同僚議員の皆さんにおかれましては、しばらくの間御清聴いただきますよう、お願い申し上げます。  また、稲村市長を初めとする当局の皆さんにおかれましては、私の意のあるところをお酌み取りいただきまして、明確な御答弁をよろしくお願いいたします。  今、地方分権が叫ばれる中、各地方自治体は人口減少という直視しなければならない実態の中で、自治力を高めるため、それぞれ工夫を凝らした取り組みが行われています。  そこで、お尋ねいたします。  尼崎市は、自治力を高めるため、今取り組まれている施策、事業とそれがどのように自治力を高めることになっているのか、まず御答弁願います。  次に、その住民自治の土台となる現状把握が必須となることは申すまでもありません。そして、現状把握のための資料のことですが、個人のプライバシーという壁をつくって資料が正確に開示されなかったり、また開示されていてもその内容、つまり核心となる部分が霧の中というのが現状と言えることがあります。これでは、いかにして真の住民自治が生まれるのかと言いたくなります。そうした姿が続くことによって、二元代表制すら正しく機能しなくなってしまえば、何をか言わんやという思いの気持ちでいっぱいです。  我々議員は、行政が日々の公金を執行し、活動している現状をどうしてそのような方法で仕事を行い、内容がどうなったかを点検、確認しなければならないのです。  しかしながら、現状としては、行政活動の透明性は確保されているのでしょうか。住民の自治参加については、議員が住民に対して行政の執行している活動を正しく的確に報告できないのが現状であると危惧しています。  尼崎市だけでなく、日本の地方自治は、二元代表制といっても行政が優位な体質になっていて、真の二元代表制が機能できていないのは行政の責任だけではないことも事実でしょう。  先日、岸田、荒木、波多で台湾の台北、新竹、嘉義、高雄市の行政と議会を訪問いたしました。新竹市だけは県と市議会になりました。  台湾では、行政と議会は互いに独立し、別な場所に建てられ、議員1人に調査事務者2人を公費で雇用でき、議員には歳費はないですが、調査費があるとのことです。議会での質問も直接的なやりとりで、この予算を執行しながらこのような結果ではおかしいでしょうというような内容の、以前の質問のテレビ映像を見せてもらいました。  新竹県では、青森市と交流を深くし、ねぶたの山車を招聘し、新竹県の中心街を回って友好関係を構築しています。  高雄市の女性市長は、環境と観光に力を注ぎ、尼崎の庄下川のようだった愛河を浄化し、ソーラー船を走らせ、夜には対岸をライトアップし、夜市が出てにぎわいを創出していました。  この視察はたくさん学ぶものがありました。  ことし、大正5年に尼崎市が市制施行され、100周年という歴史的な慶事の年です。市長は、民間の行事を100周年と協賛する形で行われ、メーン行事は10月8日の総合文化センターでの式典と思います。  9月定例会において、100周年の次のまちづくりの根本としたい、住民投票を含む市民自治条例を提出されようと思われていましたが、住民投票条項を結果的には省いて提出になりました。  市民参加は民主主義の根幹であります。現在は二元代表制の中にあって住民自治になっています。その意味で、二元代表制を行う中で、住民参加の自治が理想と思います。  では、まず二元代表制が基本的な制度として行われていますが、形はそうですが、先ほど申しましたように行政主導となり、情報開示においても行政の主導となっているように思う現在の情報提供では、適切、公正、適時の提案や改革についても適正には機能しにくく、政策立案段階においても幅が狭く、審議会における方向性は行政の自作他演のように見えるのは私だけでしょうか。  過日、秋田市教育委員会で毎年更新される教育における行政の基礎情報資料が配られており、それをもとに事前の説明なしに問題点に係る質問ができ、施策の意図も早く酌み取ることができました。  秋田市の教育部局以外の資料は見ていませんが、尼崎市における各局の毎年更新される基礎情報資料を現在の常任委員会の資料、事業概略中心の資料でなく、行政財産、数値、金額、目的、結果等の基礎情報資料を明確にすることが基本であります。  そこで、お尋ねいたします。  今までの情報伝達の方法では、問題点にたどり着くまでの時間の損失で問題点が明確になってきた時点では、例えば我々議員は採決に入らなければなりません。つまり、残り時間が切迫することになってしまいます。  この意味で有意義な議論をするためにも、現在の行政の自己満足の資料を改め、議員が問題点にたどり着くまでしなくても、その基礎資料を見れば即座に疑問点や課題に対する適切さ、公正さを質問できる資料に改善、開示することをどう思っておられるかをお聞かせください。  私自身、現在、日本の地方分権を真に確立するには、行政の優位な中において、二元代表制を維持するためにも基礎資料の作成と情報の明確化を行うことは必要だと思いますが、そうした作業を行うことに支障があるのでしたら、できない理由も明確に述べていただきたくお願いいたします。  次に、政策立案過程における議員の意見聴取について、公平、公正なあり方とは思えず、議案の可決を重視する余り、調整型意見聴取の傾向に思えます。  それには、何が問題で何が課題かに対して、適切な議論でなく調整によって決着し、課題に対しての適切な行政事業とは似ても似つかない結果となり、玉虫色のものとなり、目的から乖離した方向になりがちなのが現在の日本の多くの地方行政の姿ではないでしょうか。  そういう意味でも、議論の土台となる行政の基礎情報は、道具がなければ職人の仕事ができないことと同様、議員は課題、問題改善点を明らかにし、より高次元な議論や提案の提示が行えなくて困っており、もっと誠実で正確、明瞭な行政資料をまず開示すべきだと思います。  次に、二元代表制に水をかけるような行政による自作自演は、課題解決のための切実な努力をしていないように思えます。審議会ですら自作の方向性が強く、施策評価や事務事業評価、そして大切な行政課題に対して、行政事業決定について最も課題を解決し、適切であると精査して、選び抜かれた事業かどうかの決定理由が添えられていません。やはり、二元代表制といっても、議会権能を極力少なくしているようなのではないでしょうか。  そこで、お尋ねいたします。  事務事業、施策事業をさらに客観性を高めるためにも、行政内部だけでなく第三者という立場の人にも評価してもらうことを提言いたしたいと思いますが、どうお考えかお聞かせください。  また、評価結果について、スクラップ・アンド・ビルドがほとんどなく、100年後を見据えた尼崎とはまちづくりの展望にしても弱いと思います。  日々、より高次元の事業に取り組むことによって、未来の安定が形成されます。全ての事業を課題解消の方向にする、つまり本質を見きわめてスクラップをすれば適切な方向の事業費の捻出は可能であります。  例えば、今行われている公有地売却ばかりをせずに、新しいまちづくりに生かし、理想の都市形成の一助となる志向を持てば、もっと違った形の成果があらわれると思います。  さて、先日、先ほども申し上げましたが、台湾の高雄市に視察しました。感想を持ってお話ししますが、まず、庄下川のような愛河、幅は愛河のほうが3倍ほどありますが、愛河を浄化し、ソーラー船を走らせ、夜に対岸をライトアップし、岸には夜市が並んでにぎわっていました。  尼崎も南部運河で行われていますが、もっと多くの観光客を取り込むというインパクトがあったらいいなというように痛切に思うのであります。  そこで、お尋ねいたします。  今申しました庄下川の事例を踏まえてお答えください。現状から進化して衰退せず維持できると思います。現在のPDCAの評価結果では、行政の陥りやすい事業の継続性に流され、結果、課題解決に向けた事業の展開や一足飛びの先行事業への取り組みが感じられないのです。  課題解決に向けた適切な事業の選択がされていると思われますか。私には行政結果から踏まえて感じられないのです。今後どのように尼崎の抱えている課題を、どう適切に解消されるつもりなのでしょうか。PDCAをしている現在の方法も踏まえてお答えください。少し総論的な話になりましたが、お答えをお願いいたします。  今まで二元代表制の基礎が整っていないのと、行政の曖昧なPDCAサイクルの改善についてを根底に据えた質問をしてきました。  次に、市民自治についてお尋ねいたします。  住民投票による市政参加という話がありましたが、その条項は今回削除されました。ほっとしています。地域の自治力も上げないで住民投票とは上滑りな市民参加で、尼崎をどうしようと思っているのか首を傾げます。  現在、尼崎市の自治力向上のための施策事業は、地域の向上としてあまチャレ、地域子育て、高齢者見守り、地域防災・防犯と市職員の資質向上の研修の強化などが挙げられます。それなりに取り組まれていますが、地域が一丸となって自治力を上げる、また課題を相談してより住みやすいまちづくりを行うというものではなく、行政が課題と解消策を提示し、取り組む人やグループがいれば補助金を出す等の自治力向上策であります。  尼崎市は、古くから社協のもとに実態的には町会活動が行われています。ポスター、回覧、また季節ごとの催し物案内、研修等、枚挙にいとまがありません。  しかし、地域力になると、地域におけるあらゆる情報と課題が問題となります。そのために町会とは別に青森市では、自治基本条例が制定されていますが、今はそのことでなく、青森市地域コミュニティ・ガイドライン審議会が市長案に対して提示した意見書があります。そこには、今後一層地域コミュニティ強化に向け組織づくりの方法等の指針をまとめたものとしてあるようです。  その内容を御紹介しますと、1、役割が偏らなく、新たな担い手が育つよう地域自治協議会(市内38地区)の組織づくり、2、地域自治協議会の構成員と町会活動の役割分担、3、地域自治協議会の活動区域、4、地域自治協議会に対する市の人的支援体制、5、地域自治協議会に対する市の財政的支援体制、6、地域自治協議会の活動拠点、7、その他議論の問題点に対する解消方法の取り組みの意見書が提出され、具体的には、構成員として地域住民、町会、社協、PTA、民生児童委員、交通安全協会、防犯協会、消防団、ボランティア、NPO、健全育成、老人クラブ、自主防災、公園愛護、マンション、子供会、他活動団体で40から50人、あるいは70から80人などがあり、38地域中8地域で組織活動が行われているようです。  やはり、どこにも長所と短所があり、問題点、課題はありますが、短所を解消しながら取り組む必要は、現状の地域力を見れば、地域に住む人が多様な力を結集して、自分のまちをよりよく改善していくことはあるべき方向を実にあらわしていると思います。  尼崎で既に取り組んでいる地域もあるようですが、均等に地域力をつけることもそれぞれの地域に住んでいる人にとっては大切なことだと思います。  そこで、お尋ねいたします。  住民投票や自治基本条例も市民自治参加にとって大切なことでしょう。しかしながら、そのようなトップダウンの自治力ではなく、地域の人が地域の発動を起こし、課題を見つけ改善していく力を形成していく土台づくりを支援、運営し、そして課題解決に向けて支援、協働していくことこそ、行政が先にしないといけない施策と思います。地域自治力向上についてどのように考えておられるのでしょうか、お聞かせください。  これで第1問を終わります。
答弁要項
◎市長(稲村和美さん) 私から、地域の人みずからの行動を支援したり協働することこそが地域自治力向上につながると思うがどうかとのお尋ねにお答えいたします。  議員御指摘のとおり、地域自治力の向上につきましては極めて重要なことであると認識しており、今議会に上程させていただきました尼崎市自治のまちづくり条例案においても特に重視をしているところです。  この条例の基本理念では、まちづくりに関する情報を共有することや参画すること、協働の取り組みにより課題解決のための相乗効果を発揮すること、対話を重ね参画と協働によるまちづくりを推進することなどを掲げております。  特に、市長等の責務に掲げておりますとおり、私自身はもちろんのこと全職員が自治のまちづくりに携わる者として自覚及び責任感を持ち、市民等が行うまちづくりを幅広い視野と総合的な視点から支援していくよう変わっていかなければならないと認識しております。  また、地域の自治力を高めるための仕組みとして、地域振興支援機能の再構築や地域の主体的な活動を支援する体制づくりについても検討を進めてまいります。  いずれにいたしましても、これまで以上に市民の皆様と思いを共有し、地域の自治力の向上に向け、将来にわたり自治のまちづくりを進めていく取り組みに邁進してまいります。

◎市民協働局長(中川一君) 自治力を高めるために取り組んでいる施策、事業とそれがどのように自治力を高めているのかとのお尋ねでございます。  自治力を高めるため、地域での主体的な取り組みとして支援に努めることは非常に重要なことであると考えております。  具体的には、地域住民による地域課題解決の促進を目指したあまがさきチャレンジまちづくり事業、地域での子育てを支援する地域社会の子育て機能向上支援事業、地域での防犯の取り組みを推進する街頭犯罪防止事業などに取り組んでいるところであり、いずれも市民みずからが地域の課題解決を図っていくことを通じて自治力を高めるとともに、行政として側面支援を行おうとするものでございます。  また、コミュニティ活動推進事業、ウェルカムパーティ事業といった地域振興センターで実施している事業につきましても、地域社会において市民が他者とかかわりを持ち、地域活動に参加するきっかけとなるような場をつくることで自治力を高めていこうとしているものでございます。  今後もさらに多様な主体による自治のまちづくりを推進していくことは非常に重要なことであると考えておりますので、そのため、市民及び行政それぞれが意識改革を図り、情報を共有し、学び、考え、行動し、ともに本市の将来を担っていく関係を築き、ひいてはまちの魅力を高めていく、そういった取り組みにつきましても進めてまいりたいと考えております。

◎企画財政局長(中浦法善君)  事業評価、PDCAのあり方に関する御質問にお答えをいたします。  まず、現在の行政の資料を疑問点や課題が即座に理解できる資料に改善すべきと考えるがどうかとのお尋ねでございます。  本市では、平成25年度決算から施策評価を実施しており、その手法につきましては毎年度見直ししてまいりましたが、今年度におきましては昨年度策定した尼崎版総合戦略についても施策評価を活用して評価を行い、新たな指標も取り入れましたほか、総合戦略の6つの政策分野に基づき重点化方向の考え方などを明確化いたしました。また、4つのありたいまちの評価におきましても、成果と課題を明記するなど改善を行ってきたところでございます。  加えて、施策の目的を実現するための個々の事業の実績や評価をあらわした事務事業評価につきましても、平成27年度決算から施策評価と同じ8月に配布させていただき、市民や議員の皆様と情報を共有し、今後のまちづくりに生かしていく取り組みを行っているところでございます。  議員御指摘のとおり、こうした一連の取り組みにつきましては、まだまだ改善すべき点があると認識をいたしており、今後におきましても各種情報などを迅速、丁寧に開示し、説明責任を果たしてまいりたいと考えております。  次に、事務事業評価、施策評価の客観性を高めるため、第三者からの評価が必要ではないかとのお尋ねでございます。  施策評価につきましては、各施策の取り組みの成果や課題、進捗度などを点検、確認した上で今後の取り組み方針を明確にする、いわゆる決算評価をPDCAサイクルに基づく行政運営に定着させることを目指し、取り組みを進めているところでございます。  議員御指摘の第三者からの評価につきましては、平成24年度より3年間、有識者や市民の皆様に外部委員として参画いただいた尼崎市事務事業点検委員会におきまして公開事業たな卸しを実施してきたところでございますが、これを施策評価にまで導入することにつきましては、その内容等から相当の事務量と時間を要することが見込まれるため、今後の検討課題であると認識をいたしております。  したがいまして、まずは決算審議を通じまして市議会の皆様より決算評価についての御指摘や御意見をいただき、より効率的、効果的な施策や事業に再構築を図るなどの取り組みを進めていくことが重要と考えております。  次に、現行のPDCAの手法で尼崎市の抱えている課題をどう適切に解消するのかとのお尋ねでございます。  社会保障関係経費や公債費の増加など、本市財政は今後も厳しい状況が続くと見込まれますことから、限られた予算の中でより効率的、効果的な事業構築を行うために、施策評価においては重点化、転換調整、現行継続と施策の方向性を3つの区分に分けて取り組みを進めているところでございます。  3回目となります平成27年度決算からは、総合計画のアクションプランである総合戦略もあわせて評価をしており、本市が最重要視しているファミリー世帯の定住・転入促進を推進するため、直近に取り組む課題といたしまして、特に子ども・子育て支援の充実、学校教育、社会教育と人材育成、シビックプライドの醸成に資する施策を重点化したところでございます。  また、今回の施策評価では、特に地域コミュニティーの充実やシティプロモーションの向上といった将来に向けて重点的に対応が必要となる施策を転換調整と位置づけており、本市が抱える課題を施策横断的に取り組みを進める中で克服し、課題を強みに変えていくよう取り組んでまいります。  
質問要項(2)
2問目に入る前に、感想というか、前向きに取り組むということですけれども、具体的なことがはっきりしていないということであります。どう前向きにするのかなということだと思いますけれども、市長は、新しくまちづくりについては大切なことだからそれについてちゃんと取り組みますということ。  また、事務事業評価等についても第三者、すぐに第三者というのはできないけれども、決算のときにそういう議員の方々に評価してもらうという方法で今のところいくということですけれども、議員も全員じゃないですから、そうしたら決算は全員でするのかなというような方向もありますので、これからいろいろその方法について考えてもらいたいなと思っております。  2問目に入ります。ものづくり支援策と学校教育について、順次お尋ねしてまいります。  まず、ものづくり支援策についてお尋ねいたします。  経済活動は人の生きる糧であります。日本は資源のない国で、加工品をつくることに全力を注ぎ、常に人が求めるものを考え、作成してきたものづくりの国であります。言いかえれば、そうしなければならなかったのであります。最近特に日本の製品は、外国の人も間違いないとして少し高くても求める人が多くなりました。やはり日本の進むべき道は、信頼され、人が求めている製品をつくり、そして安価なら申し分なく、一層ものづくり日本の将来も開かれてきます。  ところで、尼崎市は古くから、以前は重化学工業を中心として阪神工業地帯を牽引してまいりました。近年に至っては、環境問題や産業構造の転換により大きな企業が多く転出する中にあって、日本の産業の縮図というべき実態があります。つまり、下請けの中小事業所が頑張り、残り、そして新しいものづくりのまちとして徐々に広がりつつあります。しかし、まだまだ経営面では厳しい事業所も多くあるように思います。  さて、今、尼崎市のものづくり支援拠点は、アマドゥに隣接して近畿高エネルギー加工技術研究所があり、また、新しい企業を支援するものとして、尼崎地域産業活性化機構のアビーズがあります。それぞれものづくり支援事業は行われていますが、尼崎の多くの事業所の現状の求めているものにそぐわなく、また、支援する側も幅広く、時代の流れに適切に対応や研究所との選択された紹介について、深さや広さはいま一つという感がぬぐえません。  現在行われているものづくり支援事業は、ものづくり総合支援事業であり、中小の事業所や若手の支援が行われています。結論から申しますと、産業都市尼崎のものづくりの取り組みとしては内容が整っていません。  以前にも質問しましたが、視察に行った岡崎市では、人の集まる岡崎市図書館交流プラザに拠点を置き、地元中小企業のビジネスサポート事業では、スタッフは大学教員と専門家で構成され、事業所の売り上げアップを支援することに目的があり、相談を聞き、問題点や解決策を見つけ、製品の付加価値を改善し、販路拡大等により売り上げアップを支える、さらに製品開発のため研究機関等へつなげるという、手ぶらで帰すことなく結果を生み出す支援策を行い、また、日本各地から現場で成功している事業者を呼び、毎週のように講演会を行っています。  そこで、お尋ねいたします。  岡崎市に比べると産業都市尼崎なのに、支援事業の内容は金属と環境が主であり、外に向けた印象でも限られた人しか必要性を感じなく、相談や問題解決の対応力、また、つまりスタッフ専門性の分野の広さと情報提供やさらなる研究所への懇切丁寧な橋渡し等についても、尼崎の支援事業では、産業都市尼崎という自負を行政みずから放棄しているかのような今の支援策に思えてならないのですが、どのようにお考えかお聞かせください。  また、ものづくりの裾野を広げていくにも、効果を示すためにも、頻繁に行わなければならない講演会にしても、尼崎市においては、大きな事業のときには単発的にそれなりの取り組みがあります。しかしながら、岡崎市では月に何回となく、特にコンサルといった人でなく、直接自分で製品や売り上げ、販路を拡大させてきた、時代を切り広げてきた事業者の考え方、解決に至ったきっかけを講演会として参加者を募集し、市内はもちろん遠方からも申し込んでこられるそうです。  尼崎市では、ほとんどコンサルが講師となり、成功例の話だけで実際の事業者でなく、臨場感や志が伝わらなく、泡のないビールのようでリピーターや広がりは出てきません。  また、功労者表彰もよいのですが、技能優秀者の技術を人の集まるところや学校授業に生かして、若者や多くの人に技術のすばらしさを伝承し、ものづくりの底辺を広げる一翼を担っていただけるような事業にも取り組むことが、100年後の尼崎の将来都市像を目指すことになると思います。  そこで、お尋ねします。  市長はいつも100周年は101年、次の100年を見据えてとよく言われています。尼崎市の産業ビジョンについて、また目指す方向はいかがですか。今その土台は整っているとお考えでしょうか、改める必要はありませんか、あわせてお答えください。  最後に、学校教育についてお尋ねいたします。  今、全国学力テストを連続して上位にある秋田県も、昭和30年代には全国40位ほどを低迷しており、このままでは県を離れても胸を張って故郷を語れないという状況を何とかしなくてはいけないと県教育関係者が誓いを立てて、教育改革のための努力が始まったそうです。  そして、具体的な教育力向上の取り組みとして、少人数学習による学習状況調査、算数・数学学力向上、教育専門監の充実、家庭教育の基礎十か条、多角的に児童生徒に生きる力をつけるため、理念でなく具体的実効性のある事業が進められ、県内各市の教育委員会が先頭に立ち、校長会、そして教職員と一丸となって、児童生徒の学力を押し上げる努力を行った結果です。  一方、兵庫県は、私立が充実しているからという思いがあるのか、学区編成を変更するだけで教育の中身、改善、改革については一向に伝わってきません。  また、尼崎市においては、平成19年全国学力・学習状況調査が始まりましたが、それ以前の平成16年から全国レベルのテストに参加し、実態状況の把握から、平成22年より学力向上対策としてクリエイト事業として取り組み、全国平均に追いつくことを目標として、平成25年からは活用力支援、平成27年度からは特色ある教育活動支援、そしてクリエイト事業の具体的な支援として、指導補助員による複数指導、放課後・土曜の学習補助、指導力向上の講師招聘や先進校視察等、多くの事業に取り組まれています。  こうした取り組みを重ねながら、昨年は全国レベルに近づいたとはいえ、なお平均を超えておらず、引き続きその取り組みを続けなければなりません。  そのためには、家庭学習の少なさと課題解決や学び合い、さらには学習者が受け身の学習でなく、自主的、能動的な学習、つまりアクティブ・ラーニングによって学力を向上していく支援事業を実施するとしています。  ことしから一つ、アクティブ・ラーニング推進事業(指導補助員の配置)、一つ、学力定着支援事業(指導補助員)、一つ、教員指導力向上事業(講師招聘、先進校視察、小学校において英語指導補助員)等の3つの新規事業が取り組まれています。  しかし、何か考え方が、取り組み姿勢が基本的に違うように思います。  秋田県では、各市の教員職の執行部が児童生徒がどのように、どこに行っても秋田に誇りを持って生きていける教育をしたいと、低迷していた時期に、児童生徒の姿を見て、教職員の人たちは志に刻んで、いろいろな取り組みを行ってきました。  尼崎の教育職の方々は、尼崎市の児童生徒はどこに行っても尼崎に誇りを持って生きていける教育をしようという志のスイッチは入っているのでしょうか。私には入っているようには思えないのです。  そこで、教育長にお尋ねいたします。  教育職の方々の先頭に立ち、尼崎市の児童生徒の学力向上に向けて取り組む教育現場のトップとして、決意を改めてお聞かせください。児童生徒の将来を思ってお考えをお聞かせください。  家庭学習をしない、親が子供のことに熱心にならない、また、地域環境が子供の育成に協力的でない、教育現場でも多くの問題がある、確かにそうだと思います。しかしながら、人に矢を向けていては本気になりません。自分自身に矢を向けて初めて志のスイッチが入ると思います。  その考えで出発したのが秋田市の教育ではないかと思います。秋田市の目標は高く、そして具体的であります。1つ、郷土に誇りを持つ、人生が生きられるように、そのため、全教員が毎年更新される「秋田市学校教育の重点」という、現場の先生が授業はもちろん、児童生徒の対応、そして研修の日程、教育施設等が記入されている60ページ余りの色刷りの冊子を常に持ち、これは自立と共生の力を育む学校教育を充実させるため、教員のための指導補助書となっています。  秋田市は、人口32万人、指導主事は16人と多く、教育執行部と学校長との協力により決められているようであります。  2つ、全学校訪問と参観による現状把握と指導、これは教育委員と指導主事とで受け持って、日程は校長の経営説明が10時10分から10時25分、校内一巡、授業参観が10時25分から11時15分、懇談が11時25分から12時15分とあり、午前1校、午後1校と行われ、現場の状況と問題・課題を指導、把握するためであります。現場を把握せずに適切な課題解決もできないのです。児童生徒の向上も望めないのではないでしょうか。  そこで、お尋ねいたします。  以前、私は、全学校訪問参観を提案しましたが、何の返事もありません。どのようにお考えなのでしょうか。また、できないならその理由もお聞かせ願います。  次に、教職員研修についてです。  以前は土曜日も午前中の授業がありました。昨今は夏休みが早く終わり、授業が始まっていますが、他都市では夏休みを短くせず、土曜日の午前授業を行っているところもあります。  そこで、お尋ねいたします。  尼崎市も夏休みを短くせず、土曜授業とか土曜研修にすればいいと思いますが、また、研修の報告書は研修時間中に15分程度時間をとり、提出すれば雑用も少なくなると思います。こうした取り組みを行うお考えはないでしょうか、お聞かせください。  最後に、学力調査等の活用についてお尋ねしてまいります。  尼崎市の学力向上事業は、指導補助員の配置が多いのですが、教職員の手助けにはなりますが、児童生徒を把握しての指導とはなりにくく、確かな学力を育てる力としては弱いと思います。  正規の担任が正確な把握と適切な指導が最も児童生徒の学力の伸びる力となると思います。その意味で、学力の高い自治体の教育施策は、全国学力・学習状況調査の結果を受けて、市独自で1問1問の正答、誤答、無回答や授業についてを微細に分析し、問題点、課題、指導例と具体的な授業方法を提示して教職員に配布し、他に学習指導改善の方策、授業改善のポイントや実践事例等を他の独自のテストにおいても作成し、配布しているとのことです。  これから明確になるのは、どのようなことでも課題は見逃さず、現場の先生の負担を少なくし、かつどの教職員も課題を解決できる授業がしやすい指導資料を教育行政の執行部が整えているということです。  そのためには、尼崎市も教育指導に取り組むことのできる人員を増加する必要があると思います。つまり、本気になって児童生徒の豊かな心と確かな学力、健やかな体を育て上げようとする気持ちが秋田市には常に働いているから実行できたのだと思います。  尼崎市の教育行政は、最近児童生徒に学んだことを活用することを述べられていますが、教育部局こそ学力調査や先進都市の視察を活用されてはどうでしょうか。  先進他都市の学校教育の取り組みについて、よいところは素直に身につけるというお考えはないでしょうか。  そこで、最後にお尋ねいたします。  もっと高い目標と具体的な実行策について、これからどう取り組むか、将来の子供たちを見据えてお答えください。  これで私の全質問を終わらせていただきます。当局並びに議員の皆様におかれましては、長時間の御清聴ありがとうございました。
答弁要項
◎副市長(岩田強君)  産業に係る御質問で、次の100年を見据えた尼崎市の産業ビジョン、目指す方向はといった御質問にお答えを申し上げます。  本市では、平成26年10月に、文字どおり今後の産業振興の目指すべき方向性を示すものとして、地域経済の持続的な発展を推進し、市民生活の向上に寄与することを目的に、一つには産業の振興、起業の促進、雇用就労の維持創出を基本理念とする尼崎市産業振興基本条例を制定いたしました。  また、尼崎版総合戦略においては、経済の好循環と「しごと」の安定を目指すことを基本目標の一つとし、産業関係団体や地域金融機関等との連携を図り、新たな事業に挑戦する企業への支援など、より効果的、効率的な取り組みを推進することといたしております。  議員御指摘の次の100年を見据えた本市産業のあり方でございますが、本市の地域経済を持続的に発展させていくためには、常に社会情勢の変化や時代の潮流を俯瞰し、経済活動を取り巻く環境の変化に対し、問題意識を持ちながら柔軟に対応していくことが不可欠であると考えております。  今後も、現在進めております事業者、産業関係団体や市民との協力、連携をさらに深め、時宜にかなった取り組みを推進してまいります。

◎経済環境局長(若竹保君)  ものづくり支援策については、事業者の相談や問題解決の対応力が不十分であると考えるがどうかという御質問でございます。  本市の産業振興施策につきましては、近畿高エネルギー加工技術研究所、尼崎地域産業活性化機構、尼崎商工会議所を初めとした産業関係団体、地域金融機関などがそれぞれの専門性を生かしつつ、連携して取り組んでいるところでございます。  ものづくり産業に対する具体的な支援といたしましては、ものづくり支援センターを初めとした近畿高エネルギー加工技術研究所の施設等を活用し、中小企業からの技術相談に対し、すぐれた技術力を持つ企業のOBが解決に向けた具体的なアドバイスを実施しているほか、尼崎ならではのオンリーワン企業の創出に向けた製品の高付加価値化や競争力強化に資する支援等を実施しております。  また、昨今では、金属加工分野にとどまらず、今後先端エネルギーとして期待される水素関連産業へ新たに算入を促すなど、幅広い分野において支援策を展開しているところでございます。  先ほど、副市長が御答弁申し上げましたとおり、産業振興基本条例の考え方を踏まえる中で、今後も引き続き産業団体等との連携を強化し、事業者からの各種相談に対しきめ細かく対応していくことにより、オール尼崎の体制で中小企業の課題解決に取り組んでまいります。

◎教育長(徳田耕造君) 尼崎市の学校教育の取り組みについての御質問に順次お答えいたします。  まず、尼崎市の児童生徒の学力向上に向けて取り組む決意を聞かせてほしいとのお尋ねでございます。  本市におきましては、これまでも学力向上に向けた強い決意のもと、学校と教育委員会が一体となって学力向上クリエイト事業を初めとするさまざまな施策に取り組んでまいりました。  また、各学校においては、全ての教員が個に応じた丁寧な指導や指導方法の工夫、改善を行うとともに、家庭での学習や放課後等の補修など、保護者や地域の人々による理解と協力のもと、学力向上に向けた取り組みを進めてまいりました。  その結果、尼崎市の児童生徒の学力は、おおむね全国レベルに達してきたと考えております。  教育委員会といたしましては、今後とも学力向上施策をより効果的なものに発展させるとともに、学校、家庭、地域、教育委員会が一体となった取り組みの中で、子供たちがやればできるという自信と可能性を持って、輝かしい未来に向けてさらなる高みを目指せるよう最大限の努力をしてまいります。  次に、全学校訪問参観についてどのように考えているのかとのお尋ねでございます。  本市におきましては、毎年6月に指導主事が全ての小中学校を訪問し、各学校が作成した学力向上アクションプランに基づき、学力向上の取り組みについて具体的な内容を聞き取る、さらに授業や放課後学習等を参観する中で、具体的な指導、助言を行っております。  また、11月にも全ての小中学校を改めて訪問し、学力向上の取り組みの進捗状況を把握するとともに、他校におけるすぐれた取り組みを紹介するなど、今後の取り組みに対する指導を行っております。  さらに、2月には全ての小中学校が取り組みの成果と次年度の計画を説明する機会を設けた上で、教育委員会において各学校への支援内容を検討することで、学力向上に向けたPDCAサイクルの確立にも努めているところでございます。  このように、教育委員会におきましては学力向上に焦点化して、全ての学校訪問参観を通じて、それぞれの学校現場の状況や課題を把握しながら学力向上施策を進めているところでございます。  次に、尼崎市も夏休みを短くせず、土曜授業や土曜研修を行うとともに、研修報告書も研修時間内に時間をとり提出してはどうかとのお尋ねでございます。  本市の教職員研修につきましては、教育総合センターでの体系的な研修に加え、指導主事が学校に出向いて行うマンツーマン研修や教科指導、学級経営に熟知した授業改善アドバイザーの派遣等による継続的な指導も行っております。  議員御指摘の土曜授業や土曜研修につきましては、現在さまざまに実施されている地域の教育活動やクラブ活動の日程調整に加え、教員の勤務体制の調整等に課題があり、現段階では困難であると考えております。  なお、研修の報告書につきましては、内容によって研修後に提出を求めるものでございますが、教員の負担も配慮し、効率がよくて今後に生かせるような内容のものを検討してまいります。  最後に、学力向上に向けた高い目標と具体的な実行策について、これからの取り組みを聞かせてほしいとのお尋ねでございます。  本市におきましては、国の学力・学習状況調査や市独自の学力生活実態調査、学習到達度調査等の結果を細かく分析し、課題の抽出や施策の充実につなげております。  また、各学校におきましても、管理職を中心に教員みずからが自校の課題を分析、把握し、課題解決に向けた取り組みを行っており、その結果、学力面において一定の成果があったものと考えております。  さらに、今年度からは、児童生徒みずからが課題を発見し、解決に向けて主体的、協働的に学ぶ学習が学力の向上に有効であることから、アクティブ・ラーニング推進事業やアクティブ・ラーニング学習モデル研究事業等の取り組みを実施しているところであります。  教育委員会といたしましては、これらの取り組みを進めることでさらなる学力向上を図るとともに、社会力育成事業などを通して、たくましくしなやかな社会性を育成することにより、子供たちが社会の変化に主体的に対応し、生涯を意欲的に生き抜くための力を身につけさせていきたいと考えております。
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